結論を持ってしまっている人

2025年5月4日

真理 問題

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人は誉め言葉(賞賛)によって試される──箴言27章


人は常に何かを探し求め、大海を周遊している小魚である。
個人で気ままに、あるいは集団で秩序立てて・・
何かそこに決着を求めている。
自分の着地点を求めている。

やがて忽然とそれを叶えるものに出会う。
いや、正確には「叶えてくれるだろうという依存心を満たすもの」と出会う。
しかし、大概それはマグロやサメといった大魚の類で、彼は進んでその餌として飛び込んでいることを知らない。
(皮肉にも、「決着」は大魚にとってのもので、決して彼のものではない)


「ぼく(中央)以外はなんだかみんなポーカーフェイスだなあ」

大魚は決着がついている。
その決着・結論は、「悟り」という名で尊ばれている。
大魚は、それを求めてやってくる小魚たちを無造作に飲み込む。
いえ、それは決してひもじいからではなく、また隙を伺って横取りするような浅ましさからでもない。
それはそれは堂々としたものだ。
なぜなら、どの小魚も進んで身を投じてくるからだ。

どの小魚も、彼を称賛している。
彼はフォロワー100000人(匹)だ。
労をせずして獲物を捕る。
頭を下げずして、いや、逆に頭を下げられつつ獲物は彼の周囲に寄ってくる。

「今日はどんな有難いお話を聞けるのか?」
「あの方は、私たちを素敵な世界に連れて行ってくれるんだ」

何でも聞くところによると、彼は来る日も来る日も同じ経路を回遊する「百万回回峰行」という荒業を達成した唯一無二の魚だという。
そのようにして得た悟りは本物である。

そうして噂が噂を呼び、彼は世を挙げての大人物、大聖者に祭り上げられた。
彼自身、それに満足している。
そんな教えを垂れるのだから、一度に小魚や雑魚の100匹、200匹くらい平らげても当然のことだというのが彼の持論だ。
それがギブアンドテイクという最新の思想だそう。




様々な顔の中で、人の一番いやな表情は「したり顔」である。
それは内面から滲み出てくるような厭らしさがある。
残念ながら魚である彼はポーカーフェイスで、表情だけではそれを読み取れないのだが、その尊大なオーラを見えるものには明らかなことである。

「そうだろう?」
「私の言う通りだろう?」
「ほれみなさい、やはりそうだろう?」

といった、彼の増上慢をその喜色満面の表情で表す類のものだ。
それは表情だけではない。
たとえば文章にも表れる。

彼は「あれもよし、これもよし」と言う。
実に門戸が広い。
あれにもこれにもそれぞれもっともそうな道理が連なっているから、すっかり丸め込まれてしまうのだ。
だから、ちっとも浮かばれない、みじめで無知で愚かな自分をぶら下げた小魚たちは得心してしまう。
「それもまたよし」
と大魚先生は追い打ちをかける。

したり顔を作っているのは「知識」であり、そのうぬぼれである。
自分は天も地も右も左も知っているんだという「無知」である。
自らの貧弱な経験や知識を、まるで永遠のものにまで敷衍、拡大、同一視しようとするエゴイズムの権化、成れの果ての姿である。

彼には一切進歩がない。
到達してしまっている(つもり)なのだから、その先はない。
だから彼はすでに死んでいる。
死んだ精神を語り、死んだ真理を披歴する。

結論を持ってしまっている人は、最も愚かな人である。
結論とは最も野蛮で、雑駁な精神である。

「私という存在は○○である」
「人生とは○○である」
「宇宙とは○○である」

”聖者”は来る日も来る日も同じことを壊れたCDプレーヤーのように繰り返す。
しかし、一般大衆はそのマントラに陶酔する。
一度耳にした「真理」を、翌日も聞くためには繰り返し同じ文言を唱え、自己麻痺の天国に行くほか耐えられない苦痛ではないか?



私たちは、常に途上にいるものである。
途上にあることが最高である。
「いまだ○○である」という自覚は、実はそこにこそ無限の可能性、未来がある。
それは有無を言わせないもので、それこそがあるがままであり、美しさの顕在である。

私たちは常に学んでいるものである。
学びに終わりはない。
だから、学びを終えたもの、悟りを得たものではない。
言うまでもなく、終えたものは死である。
結論、決着は貪欲の生んだ残滓である。

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